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【林業欧州視察②(脱石油燃料のベクショー市)】

古川大輔
森林・林業・製材・材木・住宅
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全国林業改良普及協会が
主催の視察ですが
今回の視察メンバーは
行政、民間社長、山林家、一般個人、社団法人
と様々にいて訪問側に質問するとその特徴がでて面白いんです。

同じものを見ていても職業が違うと
様々な視点があるんだと。
やはり
民間社長は「投資効率」をスグ考える
行政は「議会との関連」や「住民」を考える
技術者は「含水率、チップの大きさ」を考える

では
10月5日の日報です。

   【林業欧州視察②(脱石油燃料のベクショー市)】

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林業視察 ベクショー市
    バイオエネルギーによる小規模地球暖房施設
    バイオ燃料と自然保護を融合した森林視察

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実は脱化石燃料宣言の市、ここスウェーデンのベクショー市は
岩手県と交流プロジェクトがある。テクニカルビジットといい、
視察は有料で行っているが、日本で言う県のようなものは事実
上の権限が殆どなく、殆どが「市」に委譲されている。

ゆえに、国の方向性がすぐに市町村レベルに降りてくる。

1996年にベクショー市議会では、全会一致で戦略的な決定を行
った。それは

・ベクショー市での化石燃料使用をやめる
・2010年までに1人当たりの二酸化炭素排出量を半減する


実際に8年間で20%以上の二酸化炭素排出量の削減に成功。
VEABという市が出資した株式会社のバイオマス利用のエネ
ルギー会社を訪ねた。


バイオマス工場の見学というからチップや木屑が散乱している
ような工場を創造していた。しかし、何度も思うが、何故こん
なに美しいのか。工場の外も中も美しい、整理整頓清潔とは
このことであるか。また工場の職員は明るい。案内をされていると
きにすれ違うプラント内のあちらこちらで、気軽に「ハロー!」
と声をかけてくれる。

職場には、りんご・洋なし・バナナ・オレンジなどのフルーツ籠
がおいてあり、さすが福祉国家。健康を大事にしてる。

箇条書きにメモをまとめる。

(こちらデータはメモレベルなので
信憑性は甘いので、参考程度にしていただければ幸いです)


~~~~~~

(国について)
・スウェーデンは化石燃料は取れない
・オイルショック以降政策が脱オイルへと変わる

(組織)
・VEABは1973年設立の会社
・ベクショー市内の地域の暖房を提供
・市が100%保有の株式会社
・国が政策上初期投資(補助金)はかなりの出資
・市が管理責任はある
・日本の三セクとは違う
・利益はすべて投資と開発へ
・従業員は50名


(概要)

~木材でお湯を沸かして暖房するシステム!!~

・バイオマス(木材チップ)をタービンで燃やし、
 お湯を沸かす。
・お湯の蒸気をタービンに通し電気を発電。
・電気はコンデンサーで集めて家庭へ
・暖房用の湯はそのまま貯蔵し、地域配管を通し家庭へ
 (そのお湯パイプが、水道管を暖める構造)
・使わないお湯は地域を循環して戻ってくる
・夏期は 90度⇒70度で還ってくる
・冬期は 120度(高圧で液体維持)⇒50度で還ってくる
・電気は市場価格にあわせて供給
・約3000戸(一戸建て)+10000戸(集合住宅)+7000(店舗)+500(工場)
 へのエネルギー供給


(技術)
・バーナーの底に砂、空気が上がってサーキュレート
・点火時のみオイル(石油)を利用
・1997年に石油以外(木材チップ)によるバーナーを創った
・2002年には石油率が2%に、約9割がバイオマス(木材チップ)
・8月に点火し、6月に消す
・夏の2ヶ月は、暖房するための湯はいらず、その間に点検
・夏の2ヶ月用に小さなバーナー&タービンあり
・本プラントは、エコロジーによいということで、
 スウェーデンで400ある中で2位に選ばれた環境賞を頂いた
・窒素公害も防ぎ、電気フィルターが内臓
・煙突からは無害なものが出る
・バイオマス(木材チップ)の燃えた後、
 灰塵は水分を入れて、畑にまいて農業用肥料へ使う
・予備のバーナーも2箇所あり
・工場にあるタンク(70立米)で家庭1軒、100年分
・3種類のバイオマス混ぜる
  1)チップ(50%)
  2)製材所の粉(40%) 
  3)倒木材(10%)
・含水率は70%ほどでもOK。水分が多い程仕入れ値は安い
・1日5000立米 燃やす


(価格)
・1世帯あたり700~800クローネ(10万円くらい)

~~~~~~~

とにかく写真や映像や生で見ないと伝わりにくいと思うが、一
番いいたいことは、石油を殆ど使わず、材木だけで、これだけ
の多くの市民の生活が潤うということだ。

その後の、プロダクトマネージャーとのQ&Aを
面白ろおかしく書いてみたい。


~~~

Q 材木の供給において不安はないんですか?

もちろん、ありませんよ。毎日や毎週の天気予報を見て、予測
しています。先ほどご覧になられた工場にあるチップの山には
使用熱量にあわせて入荷していますが、この近くにもたくさん
ある場所があるんです。山にね。だから遠くもなく、近くもな
い場所にありますので、大丈夫。それから国中に森林なので、
チップがないことは物理的にありません。


Qそのチップはどこから取ってるんですか?

これは、殆どが木の上の部分です。立ち木の下のほうは建築や
パルプに使いますが、上のほうの使わないやつですね。枝払い
をしたのものを砕いて、使います。建築の端材とかではないで
すよ。スウェーデンの住宅は100年~300年使いますしね。古材
など出ません。



Qエコロジーにいいのは良くわかったし、素晴らしい。
  持続性ある林業との関係性というのはどうななんですか?


持続性や継続性、政府の長期的政策については考えてません。
実は、科学的根拠も案外、すぐに逆転する。あの材がいい、こ
の材がいい、などね。あいまいだしね。確かに最初は補助金で
運営されましたが、すぐに次の年は税金を取りコロっと変わる。
政府はすぐ変わりますからね、また政権変わったばかりですか
らどうなるかわかりません。ただし、石油を使わない。その一
点については技術レベルを上げたいし、発展したいんです。


Q エタノールなどの代替を考えてますか?

エタノール?冗談じゃないです!アレは石油の30%以上ものコ
ストがかかります。ストックホルムでバスは走っていますが、
暖房や給湯の熱エネルギーの提供は森林資源を使うに越したこ
とはありません。



Q国や市への要求はありますか?

特にないですけどね。あるとすれば、とにかく、スピードです
かね。何をやるにも市議会を通して出すから遅い。さらに識者
の意見とかありますからね。要求に合わせてスムーズに動いて
欲しいとは思います。


Q我々にとってスウェーデンは環境立国、福祉立国。
 あなたにとって、日本とは??

そうですね~。オリンパス、ペンタックス、それから、オート
バイなどのメーカー。やはりそういった名前を通しての日本で
すね。あとは島国であるのに経済的にすごいこと。

あ、あとですね、北朝鮮の隣の国というイメージがあります。
環境に従事しているとかのイメージは!?!?ないです笑。

確かに、そうですね、日本から多くの見学者が来ています。
雪国の方が来て、このお湯を送り込んで暖房に使うという発想
これを屋根に通したら雪下ろしをしなくて住むといっていた方
がいたのは覚えていますね。



Q新政権が原子力を推進していますが、影響はあるか?

現状から聞いて急激に価格が変動することはないでしょう。や
はりオイルを使わないためにここは存在します。原子力へと大
変換があるとしても10年20年先のことでしょう。



Q工場の休憩所や廊下にフルーツがありますが?

これは会社のお金で出しています。これは当社の健康維持のため
のプロジェクトですよ。(さすが所得税最低33%の国)

~~~~


その後、同じ施設で規模の小さい工場も見学した。1haもない
敷地にあるのだが、一人で管理する。この小さな工場で2000人
に提供する。これだけで、日本のひとつの村の電力供給と暖房
供給がまかなえるのか!と思う。しかも殆どがコンピューター
制御であるから驚きである。

午後は、その山林に入り、そのチップ収集現場へと足を運ぶ。
超高速でGPS投入のその粉砕マシーンカー。また伐採の現場
も1分で1本。伐採&枝打ち&切断。これは唖然、愕然。すご
すぎる。日本との違いをまざまざと見せ付けられた。1立米
550クローナ(7000~8000円)でホワイトウッドの丸太が市
場へいく。それでも利益になるのはこのスピードゆえか。

映像でまた別の機会で伝えたい。
おっと書いてて60分たったのでこのあたりで。

ちなみにハスクバーナーも大手量販店も個人的な興味で店舗
視察した。盛りだくさんの初日であった。


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