【補償の理論と現実】
カテゴリ: 行政(自治体/地域/開発)

本を薦めて、嬉しいことの一般的な5フェーズ。


 1)いい本だね!読みたい!と共感してくれる
 2)すぐ買ってくれる
 3)すぐ読んでくれる
 4)すぐ読んだ感想を共有しようとしてくれる 
 5)また広めてくれる


やはり共感、購入、共有、が嬉しいわけで、そのあとの著書の
感想で盛り上がるのは共有化とは、とくに一番嬉しい。

だから一般に、普通1)の段階ではあまり盛り上がらない。

ただし、今回。題名を紹介しただけの0)「共感」の段階で大
盛り上がりで、さらに1)読んでないのに「買った」という段
階でさらにさらに大盛り上がり。さらにいえば読んでないのに、
広めてくれている。

実は、本を紹介して、こんなにネタにされたのは初めてだ。そ
の本を薦めた私以上に紹介した人が何よりも興奮していること、
また著者の遍歴に深い哀れみと情熱があること、題名が理論と
実際ではなくて、理論と「現実」というところ、そもそもマニ
アックに「土地」と「補償問題」が好きな人には、こんな本あ
ったのか!と大興奮するのである。


紹介した著書の華山先生も天国で喜ばれているに違いない。


「補償の理論と現実(華山譲)」
                ~ダム補償を中心に~


いや~、固い内容でしょ?
固いんだけど、固くないんですよ。それは後々、書くとして、

先日、私の仕事仲間である、某、環境系企業のTさん、Kさん
に紹介したのである。


弊社にて打合せしながら「10億売上10倍幸せ」という世界と
「補償の理論と現実」という世界とのミスマッチングのようで、
しかしそこに一貫性を見出している私としては、その本の価値
を増幅していただけるTさんには、とくに感謝である。


「古川くん、
 あの日から、すぐ買ったよ~!
 確かに1500円の本がアマゾンで2万円だったけど、
 全国各地の古本屋を探してたら、
 金沢に2000円であったんだよ!」

っと、この名著をじっくり読みたくてまだ呼んでいないのに、
今日そういってくれた。おまけとしては、その紹介した会社
で、Tさんが机の上においてあったらある女性社員までが

「この本どうしたんですか?」
「読みたいっ!」

っと伝播的に広がりつつあるという。「いやだよ、おれまだ
読んでないもん」というご様子くらい。

内容は、わかりやすく伝えると。
以下のような真実に理論と現実でぶつかっている本である。


東京で電気が思う十分に使えたり
農地に水が安定的に供給されて
美味しいモノが食べられるのが、
ダムができたからという受益の享受によるものだが、
そのダムができるまで、
どれだけの人たちが、
昔住んでいたわが土地を捨てざるを得なかったかとか。


北京オリンピックの競技場をつくるために
土地を強制収容され、
もともとすんでいた住人が焼身自殺をしてるその実際とか。


六本木ヒルズができるまで
その地元住民から合意形成をするまで
某ビル会社の営業担当が、壊してきた「肝臓」の話とか。

国立マンション訴訟など、
環境や景観に悪いから14階以上は取り壊せとか。
新たにマンションができるから
周辺住民の環境が劣悪になるために反対運動をするとか。


新しい高速道路(圏央道)をつくるのに
ちょうど美しき古民家に暮らしている人が
この自然まもりたいと、立ち退かないとか。


京王線が南大沢から橋本に延長するのに
どうも1軒だけずっと残っていて両側は
線路(橋げた)ができているのに・・・・とか。

ダムにまた戻れば、
大金がもらえるから、自分の愛着ある土地は捨ててもいいが、
どうせお金をもらうなら、「ゴネて」「ゴネ」て
高いお金をもらおうとしているのか、
本当にこの土地が大好きだから立ち退かないのか
真意がわからず、今まで仲良かった隣の家との関係が
壊れるとか。

この家も補償しろと
急に掘っ立て小屋のような「家」をつくり
一夜城と揶揄されたり


また、立ち退きのために
退きたくない大地主に無理やりバクチをさせて
多大なる借金を抱えさせることで、お金をなくさせて
ダムができてきた現実とか・・・。


また、
「ちいさいおうち(ばーじにあ・りー・ばーとん)」
という絵本を読んだことがある人は意外と多いのではないだろ
うか。


chiisaiouchi



小さな田舎町にある小さなおうちが
都市化によって周りの景色がドンドンかわり
最後の最後まで立ち退かなかったある家の話。

とても切ないけど
なにか心にしこりが残らない暖かな話。


私は幼少時代にこの絵本を読んだことや
自分の裏山が急になくなって巨大ショッピングセンターができ
たとかたまたま吉野郡川上村に行ってダム建設中の村にいって
いたとかこういう経験があったからだろうが、
すごくこの世界に興味がある。

 
みなさんも、これに近い興味はあるのではないかと思う?


私は
公共の福祉(みんなの幸せ)と個人財産土地所有権(わたしの
幸せ)との戦いが大好きで、よだれがでるほど、人間ドラマと
資本主義欲求の世界とか政治の世界と土木的環境的なハードの
世界とか自然環境との世界が好きなのである。

もちろん
いかに美しい都市を作るかという観点からすれば
心地よく退去していただく法律、税制、補償などが整備されて
いなくてはならないし、単純明快に「立ち退き反対」「ご近所
迷惑反対」とかを応援しているわけではない。

補償の理論と現実は、何が気持ちいいかといえば、ダム推進と
いう立場で書いているのだが、何も被補償者を権威で押しつぶ
そうという視点ではないと明言し、最適な補償とは何かというこ
とを一貫した思想のもと書かれているということが心地よく読
めるのである。

この世界、きわめて、「うやむや」なのであるが、私は専門家
でないので詳細は専門家に任せる世界であるが、興味レベ
ルで知っていたい世界である。

この戦いの日々こそ、興味が深く、環境問題の原点に、こうい
った補償の理論と現実を知らなければ、浮ついた環境論になる
とすら私は思っている。

もし環境問題を真剣に考えて、環境研究、環境ビジネスを目指
すならば、この先生の著書の、「環境政策を考える(1978年)
」や「現代の土地神話」をお勧めする。定量的で冷静でカデミ
ックな分析力と、ジャーナリスティックで情熱的な文章力とが融
合された名著だ。だいたいこういう本がアマゾンで「1円」で売
られているのはある意味悲しい・・・。


ちょうど30年前の環境本であり、中古本しかなくカバーや本
自体は色あせているが、内容にはまったく色あせた様子がない。


ちなみにこの補償の理論と現実は、華山先生が30歳のときの
著書である。華山先生は、私が所属していた研究室の大先輩に
あたる。その研究室はいま農地環境工学研究室といい、忠犬ハ
チ公の飼い主が初代教授である。

その華山先生は、若くして亡くなった。聞いた話では、真実を
もとに発言権を得てきた信念の研究者として、カレを潰す動き
が政治世界であったといわれており、圧力に屈服し自殺した。
日本は惜しい人を無くした。1939年生まれである。世間が
高度成長、環境破壊、バブル崩壊とあっても信念が常にあった。

これら著書については、また皆様に報告したい。

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編集 / 2008.07.17 / コメント: 0 / トラックバック: - / PageTop↑
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Author:古川大輔
地域ブランド創造を切り口に、地域再生、森林再生に携わる古川大輔が現場感あふれる日々をブログにアップ。コンサルタント視点のコラムもあり、地域経営、会社経営、人生経営のヒントにもご覧ください。 ~地域・地方にこそ美しい日本の宝あり~

⇒【連絡先】
株式会社 古川ちいきの総合研究所 
E-mail:furukawa@chiikino.jp

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