【山に還元したいって、ジュースのように濃縮還元できるのか。】
カテゴリ: 森林・林業・製材・材木・住宅
【山に還元したいって、ジュースのように濃縮還元できるのか。】


「山に還元したい」と、
林業をソトから見た人が良く言う。

この何となく美しく聞こえるメッセージに対し、
3つの視点を忘れてはならない。


1)森林の多面的機能とは

2)経営努力とは

3)ブローカーとは


以下に詳細を示す。

1)森林の多面的機能とは

70兆円あると言われる、多面的(公益的)機能を維持するために、
林野庁設置法により存在する林野庁を中心に森林林業基本法が設置され、
それにより、国民の税金を使った森林整備を行うことが制度化されているのが
補助金を使う林業というものに大義がある。

二酸化炭素を固定しよう、貯水機能を守ろう、
そのために山の整備をすることが必要であるということで、
それゆえ、人工林の保育や間伐に補助事業を行う。

すなわち、
木材生産の収支だけで山を守れないという現実のために、
補助事業が適応されるというこの大義に、
税金の還元を是とすることが説明されるということがある。
これを知っておかねばならない。


2)経営努力とは

とは言え、
山林事業者や周辺事業者において
経営努力を全くして人対しも利益を還元すべきかと考えれば、
私の個人的見解は「no」である。

例えば、
所有の権利のみを主張し、
管理の義務を行わない所有者(事業者)に利益を還元する
必要性は一切ないのではないか。

未来を描く意志のある所有者(山林事業関係者)に、
所有権移転、換地、交換分合、信託設定等が行政手段として設定され
やる気のある人に山林資産が動いていけばと思う。

例えば、ドイツ視察に行ったとき聞いた話だが、
ドイツの農山村で、
芝生の長さが11cm以上になり管理していないと、
行政が勝手に芝生を刈り、所有者へ請求するということがある。
美しき農村風景を守る義務を怠ってはならないという理屈である。
都市住民は保養リクリエーション機能を享受する。
ゆえに都市の税金が農村に一部いっても不平不満はない。

林業は、素材力を高める経営努力の作品によって支えられるもの。
またそれは、美しい木材を作るだけでなく、
美しい風景を作る仕事でもある。



3)ブローカーとは

では正しい利益をどう還元するかということになった時、
小勇者自ら動けばそれにいいのだが、なかなかそういう現実はない。

で、各種マーケティング努力を中心に加工・流通面から努力していき、
地域の林業を振興させようという新しいプレーヤーがでてくるのだが、
それは、単なるブローカーとは何が違うというのか。

確かに、
森で1万円の木が、
加工されて3万円の商品になって、
町側で8万円となって販売されているもの。

吉野エリアの某木工所が
600円で出ているものが、
某ブランドセレクトショップで2000円近い価格で売られている。
高く売るということがいかに難しいかを知っていたとしても、
その利益はどこへ?!山へ行ってるん?

もっと違う方法はあろうと思える。

すなわち、
山に還元するということは、
具体的個別の山林所有者、山林事業者が、
収益を増やすということであるが、
その方法は、4通りとなる。

① 山側が、同じ商品(原木)を単価を高くして売る
② 山側が、山林搬出までのコストを削減する(これには限界巾がある) 

③ 誰かが、違う商品(製品)として加工し売上(単価)を高くして売り、
④ 誰かが、搬出、製材、加工、流通、営業経費等の原価を下げ、

そのうえで
A)山林部門に利益を増えた分、多く上乗せする。
B)そこで、増えた利益のうち、自らの利益分を減らし、山林部門に配分する

さて、上記の視点から考えるに、
環境問題から林業へ興味を持った
ある意味のソトモノ者たちに
伝えてみたい。

国産材の生産量、自給率等がどうこういうよりも、
まずは一物一価である丸太や製品が、その原価がいくらであり、
どのような、売上があって、どんな粗利を以て、
例えば、従来の商流であれば、
山林に一本当たり5000円の仕入れ(支払い)案件に対し、
自らの努力によって7000円の仕入れ(支払い)ができるようになる必要があるわけで、

その時、その増加した2000円をどうするかが、
これこそが山に還元するということであり、
ブローカーではなく、コーディネーター、プロデューサーとして山林に関わることである。

そして、言いたいのは、

2000円の増加分の2000円を山に渡すか、1000円を渡すか、はたまた1円も渡さぬか。それはあなたが決めていいのである。

ただ、加工側の主体となれば、
やればやるほど、山側が努力していないと思ってしまうのであれば、
結論2000円分は2000円も山に渡したくなくなり、
その比率はどんどん山に減る。

ゆえに、
それには
山林所有者(あるいは林業事業者)と、ソトモノ加工営業者が、
一緒にある企画を協働し、その分け前をほぼ、1対1にするような
関係性を築くとが、肝要で、山林資源調査からともに、最終加工品まで、
一度でいいから、協業できるかどうか。

そのためにも、
経営努力の意識ある所有者(山林事業者)と付き合い、
相互に努力をしていきたい、ということ。

今回、ある林班で、はっきりと、きっちりと、
山林から加工販売までの、損益計算を出して、
そのコストを共有し、分け前をどうするかということをした。

理屈で分かっていても
一つのモデル事業ができることで
はっきりと見えてきたものがある。

まだまだ私にこの経験が足りない。
ジュースのように濃縮還元できるようにと。
努めていきたい。
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編集 / 2016.03.01 / コメント: 0 / トラックバック: - / PageTop↑
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地域ブランド創造を切り口に、地域再生、森林再生に携わる古川大輔が現場感あふれる日々をブログにアップ。コンサルタント視点のコラムもあり、地域経営、会社経営、人生経営のヒントにもご覧ください。 ~地域・地方にこそ美しい日本の宝あり~

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株式会社 古川ちいきの総合研究所 
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