【北川正恭氏の講演】
カテゴリ: 行政(自治体/地域/開発)
【北川正恭(早稲田大学大学院教授)
                前三重県知事の講演】
  

久しぶりに「しびれた!」といっていいセミナーであった。北
川さんのセミナーが「シビれた」理由は、自分の中で、3つす
ぐあがった。1)話し方(俳優並みのトーン、声のハリ、やや
時折出す演技的な罵声) 2)具体事例を忠実に本音レベルで
話したこと 3)時折見られる理論的キーワード というよう
になろう。事例は3つだった。


1)県立病院の独法化、赤字脱却の話
2)シャープ企業誘致の話
3)県職員改革の話


具体的話は割愛するが、とかくいえるのは、行政特有の問題を
きちんと顧客志向に変えてゆくことを徹底させたことだろう。すな
わち、固有の個人の尊厳、認められたい、理事長でいたい、課
長になりたい、というエゴを、住民のためにという視点に変えさせ
たことが改革の大きな要素である。

そこに、コスト削減、利益目標という数字を、共通の理念、共通
の価値観として持たせて変革をもたらせたという。これが北川
さんのいう「立ち位置を変える」ということであり、
「all for one, one for all」と何度も、大きな声で発言され
た。「一人はみんなのために、みんなは一人のために」である。


さて、そんなのわかっている。共通の理念を出し、数字目標を
つくり、仮説に基づいて、戦略を立てて、具体的に実行する。
それでも、既得権益にすがりつき、自分の利益を優先したがる。
だから、どうしたらいいんだ?と思うばかりの私に、それでは
北川さんの講演も刺さらない。しかし、なるほど、それか、や
っぱりそれかと思うことを「数字で」説明し、証明してくれた
のであった。

「私は8年間知事をやりました。1年間の労働時間は2000時間
でした。よって知事の間の1万6千時間ありましたが、そのう
ち職員との対話時間に1万2千時間使いました。」


やはりそうだったかと思えた。結局、北川知事の方法はカーネ
ギーの言う人を動かすというのとヤヤ違う。手厳しい部分もあ
ったと思う。やや独占的なところもあったと思う。しかし、徹
底的に職員と腹を割って話した。腹を据えて話した。そして、
当事者に責任を持たせて、共通の数字理念をだし、実行に移し
ていったという事実であろう。そのあたりも具体的にユーモア
と皮肉と機知とたっぷりに話してくださった。人を動かす、そ
の部分での北川流哲学は「腹を割って話そうよ」ということだ
と私は思った。


マニフェストという流行語大賞を生んだ北川氏。「今はもうみ
んな使っちゃって私の思う壺です」と笑いながらチャーミング
に話す部分も併せ持つ。最後に質疑応答でめいいっぱい熱く解
説してくれたあと「もっと聞きたい、もっと知りたい、そんな
人は、是非早稲田大学大学院のほうにお越しください!」とい
うオチで占め、会場の笑いを独占した。

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編集 / 2005.08.23 / コメント: 0 / トラックバック: 0 / PageTop↑
【アップル社代表取締役(前刀禎明)との出会い】
カテゴリ: マーケティング/営業


黒いTシャツにカジュアルパンツ、そして黒い皮靴。阿部寛風
(やや石田純一風)なファッションセンスに、真田広幸に似た
甘いフェイス。見た目30代後半。その男は、前刀さん。アップ
ル代表取締役。その彼のサクセスストーリーを聞くと、どう考
えても別世界の人と思えてならない。

転職暦も「ソニー」→「ベイン&カンパニー」→「ディズニー」→
「AOL」→「元ライブドア」→「経営コンサル(経営者)」→「アップ
ル代表」という輝かしい経歴である。プレゼン内容は主に、iPod
の広告、宣伝、戦略についてであったが、ウインドウズではなく
アップルのコンピューターから繰り出される動画の連続、抜群の
ビジュアルセンスを見せられ見入ってしまった。前刀さんが紹介
なされた「サクセス話」をここで3つ紹介してみたい。


①カセット→CD→MD→iPodへ
②Walkman9% iPOD73% otheres18%
③BMWが「iPod」の付属品


①は、本来MD→デジタルミュージック→と媒体の名前へと発
展するところ、消費者の認知は、媒体名からiPodという商品名
になったいうことを表現された。②についていえば、ミュージ
ックプレーヤーといえば?という調査の回答である。ウォーク
マンをはるかに凌いでいるという。さらに③。アルファロメ
BMW、日産など大手自動車メーカーとの提携により、デジタ
ルミュージックが車内で聞けるようになった。iPodにとって、
最大最高の付属品がBMWであるという「自信話(自慢話)」
までされた。

さて、そうはいっても彼は技術者ではない。デザイナーでもな
い。一体彼は何をやったのだろう。実は、今回話したいことは、
この社長が何ができるのか、何がすごいのかということである。
そこで聞いてみた。


「前刀さんは、
いま、ソニーの再建をやれといわれたら今アップルやめてやります
か?」

「愛社精神って次々転職されているから、あるようでないと思
いますが、前刀さんの○○愛ってのは一体なんですか?」

と質問した。前者の質問はうまくかわされた。しかし、後者の
質問については即答だった。「一般の人に伝わらない「技術」を
より消費者に近づいて訴求することの楽しさ。それだけを追求
してずっと仕事をしています。」と。

「技術」と「消費者」を結ぶ架け橋。

抽象的ではあるが、それが彼の仕事なのだろう。ソニーは技術あ
りきで消費者から遠い存在になっているという。実態つかみきれず
やや不完全燃焼であったが、お偉い人に出会えたのは事実。

色々と感謝したい。私はその後名刺交換をした。日本の地域再生
も、この人と対等に話せる日はくるのだろうか。自分のフィールドで
最高の結果を出せるようと誓った日でもある。
編集 / 2005.08.10 / コメント: 0 / トラックバック: 0 / PageTop↑
【佐渡島 その1】
カテゴリ: 地域ビジネス(地域資源、観光、農業)
二日間の佐渡訪問を書いてみよた。(長文ごめん)



店員「630円になります!」
古川「えぇ!高すぎないすか?たかが牛乳でしょ!?」
店員「いえ、アイスミルクは630円でして、すみません」

こんな観光客はイヤなのか。それは、佐渡汽船の乗降所の中に
ある喫茶店だ。実はこれが佐渡島の経済的現状を表す一つの指
標であったとは、そのとき私は気づきもしなかった。その結論
は明日の日報に続くとしよう。今回は、誕生1周年の佐渡市市
役所の職員から弊社へ連絡があって足を運ぶこととなった。詳
しい話は省くが、ようするに


「佐渡島を活性したい!その援助を求む!」

ということである。よって、市役所は、コンサルに依頼しよう
とコンペ前の情報収集ということで、色々なコンサルにあたっ
ており、そのヒトツとして弊社にあたっている。先方の狙いは
「情報収集」「ノウハウ取得」。来週はまた違うコンサルがく
ると正直に伝えてくれた。

話を聞くに、役所自体もどういう方向に佐渡が向かうかが明確
ではないと、不安をポロっと打ち明けてくれた。この役所職員は、
改革推進に意欲を燃やし地元の企業に自らどんどん足を運んで、
ヒアリングを熱心に行い、佐渡の経済活性化のために尽くしている。
ようするに、島の外からお金をいかに持ってる来るかを考える。佐
渡でも沖でも「外貨獲得」といっていい、その言葉はキーワードだ。


本日最も伝えたいことを3つにしてみた。いわゆる過疎化が進
む佐渡島で、いま何が起こっているかということである。


①「トキ」と「蘇我さん」への冷ややかな目線
②農産物 魚産物 あるし食えるし 家あるし 
③島を出ない人たちのニート化現象


①「トキ」実は知らぬ人も多いだろうがもう80羽も増えた。
しかし「トキは金にならんし、トキなんていらんよ!」という
声を聞く。「あまりトキに熱を入れてる島民はいないんじゃな
いすかねぇ」というのも聞いた。最初は騒ぐが、生活と関係な
い話には興味がなくなるという。その象徴的な例が「蘇我さん」
に対する扱いもそうだという。もちろん、それが佐渡市の何%
の人の意見だということはいえないが「もう蘇我さんもほっと
いてやれば~」という具合だという。確かに市が税金によって
生活費を負担しているという現状もあり、やや島民も冷ややか
だという。


②そこで、過疎過疎といいながらも、逆説的な声もあった「佐
渡は裕福なんだよ」これを象徴するのは「海産物、農産物」に
は困らず、食えることだ。確かに、大学院時代に、対馬でもそ
ういった声を聞いた。海もあるし、田んぼも畑もあれば、これ
といって、勤欲意識は生まれない。建物も瓦屋根の家が並び、
「家」は意外と安泰なのである。

③島を出ない人、高卒で地元で働く人というのは、特に、努力
して、残業して、働くという意識が弱い。「新卒は、半数以上
が1年以内で離職するんじゃないですか?」という。ニート化
というのは島でも歳でも同じである。団塊世代がある程度金が
あるから、子どもに甘くなるらしい。


まとめたい。
佐渡島。性格は保守的。冷ややかな現実主義。しかし、人間性
は田舎に行けば行くほど素性がいい。勤欲意識は低いが、米も
野菜もあって、サザエもカキもワカメもイカもあって、海もき
れいで幸せである。観光業も落ち目だが、元気な企業もある。


確かに「活性化したい」といい役所から呼ばれた。しかしだ。
済活性化を促すこと。それは、若い人を呼び込むことだ。と短
絡的に考えたり、また、それぞれ両方の目的を達成することだ
けに執着したりとする必要ははたまたあるのだろうか?実は、
ある集落では、数人の高学歴者がIターンして住んでいる地区
があるという。一人は新潟で塾講師をしているそうだ。色々な
生き方がある。そう考えると役所側からの「佐渡は裕福なんだ
よな」という揶揄に集約されるよう「地域活性化」の視点とは、
経済活性という視点でのみではコンセンサスが得にくい地域で
あろう。これはどこでも一緒の命題か。


【佐渡島日報 その2】
          ~離島の不利さに勝つ佐渡の元気な企業~




「トランクひとつで~♪」

米米クラブのロマン飛行ではない。これが佐渡島T社の営業マ
ンである。離島には大欠点がある。それは輸送費がかかること。
であるから、やはり輸送費のかからぬ軽工業品でないと苦しい。
その不利さを軽減して、ようやく本土や海外から外貨を得られ
るビジネスとなる。しかし、T社(売上41億円、従業員550名)
ここは携帯電話のボタンを作る会社である。こんなシーンがある。


「寒波で船が出ません!」


納期が絶対であるこの世界。何が何でも出さなければならない。
島民の性質、性格から考えれば、日本海が大荒れしていたらゆっ
くり休めばいいではないかというのが常。沖縄の台風と県民性と
似ている。しかし、パナソニック、シャープ、ノキアさんには許
されない。天候なんてそっちの都合だ!といわれれば当たり前で
ある。色々な戦略を練って準備をするそうだ。例えば、数個でも
箱を運ばなければならない場合。トランクひとつで、営業マンが
携帯ボタンを詰めこんで、あらゆる手段を使ってノキアの本社フ
ィンランドに飛ぶのだという。


結局、話を聞くと、この会社のトップの人生も波乱万丈で面白い
が、前向き、プラス発想、積極性、人なつこさ、色々とある。今
や500人の雇用を生み出した佐渡島のスター社長であるが、俺は目
立ちたくないんだと謙虚な姿勢も併せ持つ。「まだ帰らないだろ
?」と僕らにいい、佐渡名物のサザエをご馳走して下さって、佐渡
について語り合い、ビジネスについて語り合った。

いえ、色々教わったというのが正しい。


~佐渡島でビジネスを成功させるには~

①一度、東京か新潟に出て、一人暮らしの辛さを知ってから戻るべし
②突然の不慮の経営難のためにも、外国人労働者を派遣で入れる
③国内島内の従業員には絶対に食わせるだけの利益は確保する
④人生保障なんてあるもんかという姿勢
⑤行政なんて黙ってりゃいい!
⑥努力、研究、その繰り返しがすべて
 観光業だって、努力してないだけだ
⑦佐渡汽船の独占が佐渡をダメにした(新潟県の天下り先)
 

そうかどうりで、波止場でのアイスミルクが高いわけである笑。

規模縮小という理屈か、佐渡と新潟をつなぐフェリーが一社にな
った過去がある。実情は苦しい理由があったのかもしれないが、
競争原理を失い、新潟県の天下り先となったという。サービスも
悪いという。元出納長が経営し、赤字の巣窟となったともいう。

佐渡汽船の多くの子会社。そして、多くの箱を作った。予算消化
という視点でホテルを運営する。予算なんてあるものではない。
民間の投資とはそういうものではない!と力説された。公営施
設の現実もまたこの地域でまざまざと知らされた。

T社の社長の話を書いたが、それ以外にヒアリングさせ
ていただいた二人の社長(会長)もまた似た考えぬしである。
「佐渡だとか離島だとかいうんじゃないよ。」そんな社長も、
「佐渡は裕福さ、息子に車上げるから戻ってこいなんていって
も、仕事意欲はないさなぁ。まぁのんびりして暮らすのも生き
方でいいんじゃないの」この社長、これだけアグレッシブであ
っても、日本人として忘れちゃならんだ!といい「田んぼ」は
続けている。


今回の佐渡。行政、商工会、民間企業 
さまざまな方のさまざまな視点で話を聞けて、やや、客観的な
佐渡像が私の中にも出来上がった。市長への意見も人によって
違う。今後を考えた。

佐渡は1度もいかないバカがいる
     2度いくバカもいるとはいったものだが・・・。



編集 / 2005.08.05 / コメント: 0 / トラックバック: 0 / PageTop↑
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プロフィール

古川大輔

Author:古川大輔
地域ブランド創造を切り口に、地域再生、森林再生に携わる古川大輔が現場感あふれる日々をブログにアップ。コンサルタント視点のコラムもあり、地域経営、会社経営、人生経営のヒントにもご覧ください。 ~地域・地方にこそ美しい日本の宝あり~

⇒【連絡先】
株式会社 古川ちいきの総合研究所 
E-mail:furukawa@chiikino.jp

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